「ふっふっふ。それじゃあ、覚悟はいいかな? ガウリイ君」

 楽しそうに含み笑いをするリナを見て、ガウリイは口元を引き攣らせた。
 今日はホワイトデー。
 バレンタインデーに女性からチョコを貰った男性が、お返しをする日である。
 もっとも、一般常識に疎いガウリイが、世間のそんな行事を知っているはずがない。
 と言うよりも、リナにチョコを貰うまで、バレンタインの存在も知らなかった。
 ホワイトデーにはお返しを用意しないといけないと知り、ガウリイは散々悩んだ。
 だが、どれだけ考えても、なにを贈ればいいのか見当もつかず、下手なものを用意するよりはと、リナに直接聞くことにしたのである。



『まっ、ガウリイにお返し考えろなんて、難しいお題だったかしらねー』

 率直に訊ねるガウリイに、リナは腕を組んで一人納得する。

『そうね、それじゃあ・・・そうだ!』

 顔を輝かせて、リナは人差し指を立てると、嬉々としてガウリイの顔を覗き込んできた。

『ホワイトデーの日は、一日あたしの言うことなんでも聞くって言うのは、どう?』



 出来れば異議を唱えたかった。
 だが、だからと言って、他にリナを納得させられるだけの案が思いつくはずもなく。
 結局ガウリイは、リナのその要求を、呑む羽目になったのだった。

「なんでも言うことを聞くのはいいんだが・・・」

 もはや諦めた表情で、ガウリイは呟く。
 仕方がない。それは最早腹を括った。
 だが、

「この格好は、一体なんなんだ?」

 ガウリイの格好は、普段の鎧姿・・・ではなかった。
 黒のタキシードに蝶ネクタイ。ご丁寧に、白の手袋もはめさせられた。
 窮屈な襟元を、指摘まんで少しでも緩めようと、無駄な努力をしてみる。

「なにって、執事に決まってるじゃない」
「しつじ?」

 素っ頓狂な声が、ガウリイの口から飛び出た。

「そっ。一日言うこと聞いてもらうのに、いつもの格好じゃ味気ないじゃない」

 結構似合ってるわよ、と、リナはけらけら笑いながら言うが、あまり褒められている気がしない。
 こんな格好で今日一日過ごすことを思い、ガウリイは憂鬱に顔を曇らせた。

「ほら、なにぼーっとしてるのよ! とりあえず、肩でも揉んで貰おうかしら」

 それは執事の仕事なのか・・・?
 そんな疑問が脳裏を過るが、言っても無駄なことは長い付き合いで分かっているので、ガウリイはグッと堪え、代わりに大きなため息を付くのだった。







 予想はしていたことだが、リナのガウリイ扱いは荒かった。
 肩もみから始まり、部屋の掃除や買い物の荷物持ち、更には剣の手入れと、その種類は多岐に渡る。
 しかも、この格好で外に出るのは、正直恥ずかしい。
 そこそこ大きな街で、色んな人間が集まる場所だが、それでもスーツを着込んだガウリイは目立ったし、好奇の視線も痛かった。

「やっぱりこんな条件、飲むんじゃなかったなー」

 日が沈み、街も夜の装いを整え始めた頃。
 ガウリイは気疲れから、すっかり疲労困憊していた。
 これならまだ、一人でレッサーデーモンの群れに突っ込めと言われた方が、マシだ。

「まっ、それももう終わりか」

 一応これは、ホワイトデーのお返しなのだから、日付が変わったらもうおしまいである。
 そのことに、ホッと安堵のため息を吐きながら、ガウリイは宿の廊下を歩いていた。
 手に持っているのは銀のトレイ。
 その上には、苺の練乳がけと、花を漬け込んだお酒が乗っていた。
 食後のデザートとして、リナが所望したものである。
 そのまま食堂で食べればよかったのに、リナが『こんな騒がしいところじゃいや!』と我儘を言ったため、わざわざ部屋まで持っていくことになったのだ。

 コンコン

「おーい、リナー。持ってきたぞー」

 リナの部屋の前に付くと、ガウリイは声をかける。
 待つことしばし。
 部屋の中で気配が動き、内側からドアノブが回った。
 顔を覗かせたリナは、ガウリイの持つトレイを見て、笑顔を浮かべる。

「やっと来た! ほら、早く入ってよ!」
「へいへい」

 命令されるがままに、ガウリイはリナの部屋に入った。
 ベッドの横にあるナイトテーブルにトレイを置き、これでようやく解放されると、ガウリイの肩の力が抜ける。

「それじゃあ、オレはこれで・・・」

 さっさと帰って着替えようと、踵を返したガウリイに、

「どこ行くのよ?」

 さも当然のように、リナが首を傾げる。
 足を止め、ガウリイは振り返った。

「どこって、部屋に戻ろうかと・・・」
「なんで? まだ終わってないでしょ?」

 まだ、だと・・・!?
 驚愕に、ガウリイの表情が固まった。
 確かに、まだホワイトデーは終わっていない。だが、こんな時間に、一体なにをさせられると言うのだろうか・・・?
 緊張した面持ちで佇むガウリイに、

「ほら、そこ座って」

 ベッドを指差し、リナが告げる。
 次はなにを言われるのか、恐々としながらガウリイが座ると、

「よっと」

 更にその上に、リナが腰を下ろした。

「・・・・・・はっ?」
「うーん、やっぱり太腿固いわねー。まっ、仕方ないけど・・・」

 神妙な顔で呟くリナ。
 ガウリイは、一体なにが起こったのか理解しきれず、ただ目を白黒させていた。
 もぞもぞとリナが動き、横座りになると、ガウリイを見上げる。
 膝の上の体温と、思わぬ至近距離に、ガウリイの熱が少しだけ上昇した気がした。

「なにぼけっとしてんのよ?」
「えっ・・・?」
「ほら、食べさせてよ」

 食べさせる? なにを?
 同じ単語がぐるぐると頭の中を巡る中、唐突に先ほど持ってきた苺のことを思い出した。
 これのことか? って言うか、食べさせるってなんだ? それは執事の仕事か?
 いや、もう今更執事の仕事とかそう言うのに拘っている訳ではないけれど、そう言うのを差し引いても、これは色々とおかしくないか?
 それとも、おかしいと思うオレがおかしいのか?
 ちらりと、リナの方を見ると、彼女は早くしろといいたげな顔で、黙ってこちらを見上げている。
 もうなにがおかしいのか分からなくなりながら、ガウリイは苺に手を伸ばした。
 その時になって、ハタと気付く。
 そう言えば、フォークを持ってくるのを忘れていた。

(しまった! どうしよう、今から取りに・・・行ったら怒るか、リナは? 苺なんだから、別に手で食べさせても、問題ない・・・よな?)

 混乱した頭では、まともな思考などできるはずもなく。
 色々と考えた末、ガウリイは手袋を外すと、そっと苺を指で摘まんだ。
 洗い立ての苺の、ひんやりとした温度が、指を冷やす。
 ごくりと、生唾を飲み込んで、ガウリイはリナの口の中に苺をそっと入れた。
 リナは特に文句も言わず、ぱくりと苺に食いつく。
 指に付いた練乳を、小さな舌がぺろりと舐めた。ぞくりと、背筋が粟立つ。

「んっ、美味しい! ちょっと酸っぱいけど、練乳もかかってるから、これくらいがちょうどいいかも」

 上機嫌に足をバタつかせ、もう一個とリナが無邪気にねだる。
 言われるがまま、ガウリイは二個目の苺に手を伸ばした。

(だけど、これは・・・)

 小さな唇が練乳で汚れる。それを指で拭って、ぺろりと舐めるリナ。ガウリイの視線は、その動作に釘づけだった。

(やばいことをしている・・・気分だな・・・)

 リナはきっと、意識していないだろう。
 だからこそ、余計に性質が悪い。
 三個目を、彼女の口の中に押し込もうとした、その時、

「うきゃっ!」

 小さな悲鳴が、リナから上がった。
 垂れた練乳が、緩んでいた襟元から入り込み、胸元にかかったのだ。

「やだ、冷たい・・・」

 日焼けをした箇所とは、対照的な白い肌。
 少しの染みもない肌の上に、ぽつんと零れた練乳が、ランプの薄明りの下で微かに光る。
 もう駄目だ。
 そんな声が、聞こえた気がした。

「ねえガウリイ、ちょっとタオル・・・ガウリイ?」

 不思議そうなリナの声を、どこか他人事のように聞きながら、ガウリイはリナをベッドの上に押し倒した。

「へっ? ちょっ・・・なに? ガウリイ?」

 なにが起きたのか、分かっていないリナの服を、少しだけ肌蹴させ、零れた練乳に舌を這わせる。
 ぴくりと、ガウリイの下に組み伏せられた痩躯が、微かに震えた。
 ゆっくりと、味わうように、ガウリイは舌を蠢かせる。
 強烈な甘味に、舌が痺れたような錯覚を覚えた。
 練乳を舐めとっても、滑らかな肌の感触が気持ちよくて、舌を放せない。

「やっ、だ・・・放しなさいよ! 放せ〜・・・」

 ジタバタと抵抗するリナ。
 体格が違いすぎて、痛くも痒くもないのだが、一応ガウリイは顔を放す。

「なんでだ、リナ?」
「なんでって・・・当たり前でしょ!」
「零れた練乳、綺麗にしてやっただけだぞ?」

 白々しく言って、指で舐めていたところをそっと撫でる。
 リナの頬に朱が刺した。
 それでも強気に睨み付ける双眸が、ガウリイの姿を映し出す。
 ぞくぞくした。
 ガウリイは苺を一個手に取ると、それを口に含んで軽く噛む。
 そのまま、リナの唇を有無言わせずに奪った。

「んー!?」

 突然のことに、驚く彼女の唇を割り、苺を中へと押し込む。
 ついでに、侵入を果たした舌で、リナの口内を舐めつくした。
 甘くてほのかに酸味のある苺の味を、舌全体で感じる。
 頬の柔らかいところを攻め、天井を擽り、名残惜しさを感じながらも口を放した。
 こくりと、リナの喉が動き、苺を飲み込んだのが分かる。
 こちらを見つめ返す瞳は、わずかに熱を帯びていて、ガウリイの口角がわずかに上がった。

「リナが悪いんだぞ。誘ったりするから」
「誘ってなんか、んっ・・・」

 反論の台詞を吐こうとする唇を、無理矢理塞ぐ。
 啄んだり、吸い付いたりして、その柔らかな弾力を、思う存分堪能した。
 解放したころには、リナの唇は赤く充血していた、艶めかしさが増している。
 ガウリイは、まだ手つかずだった酒の瓶を手に取ると、直接口を付けて中身を含んだ。
 脳髄が痺れるような、甘ったるいアルコールを、リナに口移しで与えた。
 嫌がるようにもがく彼女を押さえつけ、問答無用でアルコールを流し込む。
 逃げ場のない状態で、リナは喉を鳴らしてそれを嚥下した。
 口の端から零れた滴を、ぺろりと舐める。
 身体を起こして、ガウリイはリナを見下ろした。
 弾む息、上気した頬、潤んだ眼。
 そのどれもが、ガウリイの劣情を盛大に煽って、誘ってくる。
 我慢するだけの理由は、もう、思いつかなかった。
 邪魔な上着を脱ぎ捨てる。首元を占める蝶ネクタイも、乱暴にむしり取ってその辺に投げ捨てた。
 ガウリイの下で、リナが息を呑むのが分かる。
 そんな彼女の上着を、ガウリイは一気に捲り上げた。

「!?」

 薄闇の中に浮かび上がる、白い肌。
 羞恥からか、微かに赤みを帯びており、色気が一層増していた。

「いやあ・・・!」

 隠そうとする両手を押しのけ、ガウリイはリナの裸体をまじまじと眺める。
 本人も気にしている、小ぶりな胸。
 それが、微かに震える度、先端に付いたピンク色の尖りが、少しずつ大きくなるのに気付いた。

「興奮してるのか?」

 思わず口の端を持ち上げて問いかけると、カアッとリナの頬が赤くなる。

「違う・・・!」
「でも、ここがこんなになってるぞ?」

 言いながら、指で胸の先端を摘まんだ。
 びくっと、リナの身体が強張る。
 その反応が面白くて、ガウリイはしばらく、それを悪戯に弄んだ。
 ガウリイの動きに応えるように、先端はますます大きく膨らんでいく。

「いやらしいな、リナの身体は」

 ガウリイの台詞に、反論しようと、リナが口を開いた。
 だが、なにかを言うよりも早く、ガウリイはそれまで指で捏ねくり回していた先端を、ぱくりと口の中に咥える。

「ひあっ・・・!」

 悲鳴が、リナの口を突いて出た。
 舌先でちろちろと刺激し、優しく歯を立てれば、ガウリイの下でリナの身体が跳ねる。
 嫌々をするように首を振る度、茶色の髪がシーツの上で波打った。
 まるで溺れる魚のようだ。
 自分の動作、一つ一つに、鮮やかな反応を返すリナが可愛くて、愛しくて。
 ガウリイはきゅうっと、口に含んだ突起を強く吸い上げる。

「ふっ、あっ・・・!」

 息を呑んで、リナがガウリイの頭を抱え込んだ。
 衝撃に耐えるように、細い指が彼の髪に絡みつく。
 引っ張られる度に、鈍い痛みが走った。
 リナが感じている。その事実に、ガウリイの口元は自然と綻んだ。

「はっ、あっ・・・」

 小刻みに身体を震わせて、リナの指から力が抜けた。
 頬を上気させ、彼女が余韻に浸る隙に、ガウリイは身体を起こす。
 持ってきた苺を一つ取ると、潰してそれを、リナの肌へとなすりつけた。

「んっ・・・」

 ふるりと、リナが身震いをする。
 赤く汚れた白い肌に、ガウリイは舌を這わせた。

「あんっ! や、だっ・・・」

 鼻にかかった抗議の声は、聞こえないふりをして、ガウリイは一心不乱に苺を舐め取る。
 甘酸っぱい苺に、リナの木目細かな肌は、とてもよく合っていた。

「旨いな、この苺」

 にやりと笑ってそう言えば、リナが上気させた頬を、更に赤く染める。

「変態・・・」

 ジト目で睨み付けるリナに、ガウリイはますます頬を緩ませた。

「ここはどうかな?」

 言いながら、ガウリイは、リナのズボンに手を掛ける。
 一瞬、リナが抵抗するように身動ぎしたが、そんなことはお構いなしに、ガウリイはズボンを一気に引き抜いた。

「ひゃんっ!」

 ころんと、ベッドに転がるリナ。
 その隙を逃さず、ガウリイはリナの太腿を割り開いて、その間に居座った。
 薄っすらと生えた恥毛の、その奥にある割れ目は、見ただけでも分かるくらいすでに蜜が溢れている。

「なんだ、ぐちょぐちょじゃないか」
「やあっ!」

 羞恥から、リナがじたばたと無駄な抵抗を試みる。
 それを、体格差でねじ伏せて、ガウリイはそこに口付けた。
 柔らかい丘を丁寧に舐めて、蜜と唾液が合わさったものを、割れ目の上の突起にこすり付ける。

「はっ! あんっ!」

 そこをひくつかせ、リナは腰を浮かせた。
 蕾はますます大きく膨れ、もっと触れと主張してくるかのようだ。
 舌で嬲りながら、ガウリイは開いた入り口に指を浅く差し込む。
 突起の裏側付近を、中から指でくりくりと刺激した。

「ひゃん! あっ、ふあっ!」

 背筋を逸らし、リナの身体が弾む。
 シーツは乱れて様々な模様を生み出し、彼女の裸体を芸術作品のように飾り付けた。
 ガウリイの頭を掴む手に、じんわりと汗が滲む。

「だ、め・・・がうり、それ・・・」

 潤んだ瞳を向け、息も絶え絶えにリナが言葉を放つ。
 だがガウリイは、最後まで言い終わるよりの先に、リナの陰核を強く吸い上げた。

「あああああっ・・・!」

 びくっと、大きく跳ねて、リナの背が弓なりに反った。
 頭の先から爪先まで、全身に力が入っているのが分かる。
 割れ目の奥はキュウキュウとガウリイの指を締め付け、押し寄せる快楽の波に、リナがただ流されているだけなのを伝えてきた。
 どれくらいそうしていただろう。
 ふと、リナの指の力が緩む。
 それを合図にしたかのように、どっち、全身の力が抜けた。
 シーツの上に、力なく投げ出される四肢。
 身体を起こして顔を覗き込めば、恍惚とした表情でこちらを見上げる、リナと目が合った。

「気持ちよかったか?」

 ガウリイの問いかけに、正気を取り戻したのだろう。
 リナは少しだけ眉を顰めると、答えもせずにぷいっとそっぽを向いてしまった。
 彼女らしい態度に、思わずガウリイの顔がにやける。
 ガウリイはズボンに手を掛けると、その中から固く反り返ったモノを取り出した。
 さっきからずっと、痛くて疼いて堪らなかったモノだ。
 一度達し、仄かに肌を上気させ、全身から色香の漂うリナを見て、ますますそれは固さを増す。
 リナの足を思い切り割り広げ、ガウリイは彼女の入り口に、自分のそれをあてがった。

「あっ・・・」

 リナの口から、ため息が漏れる。
 そこは物欲しそうに涎を流しながら、ガウリイのモノを飲み込もうと、ゆっくりと開いていった。
 その奥へと、ガウリイは一気に押し込む。

「ふあっ!」

 最奥を強く突かれる衝撃に、リナは再びシーツに沈む。
 ゆっくりと、焦らすように腰を引けば、リナの中が放すまいと胎動して、ガウリイのそれを咥えこんだ。
 またゆっくりと、奥を突く。
 緩慢とした動作は、自分の中にある異物をリアルに感じるのか、リナは恥ずかしそうに両目を閉じて、必死に歯を食いしばっていた。
 ガウリイは身体を倒して、リナの耳元に唇を寄せる。

「分かるか、リナ? お前さんが、オレのを締め付けてるのが」

 きゅっと、咥え込んだ壁が、ガウリイの台詞に応えるように締まった。

「気持ちいいんだよな?」

 またもやきゅっと、内壁が蠢く。
 リナの中は本人とは違ってやたらと素直で、もっといじめたい衝動に駆られたが、すでにガウリイも限界だった。
 リナを押し倒してから、ずっと我慢していたため、今すぐにでも解き放ちたくて仕方がない。
 ガウリイは彼女の唇に、ちゅっと軽いキスを落とすと、身体を起こしてリナの両足を抱え込んだ。
 ゆっくりとしたストロークが、だんだんと早くなっていく。
 肌と肌がぶつかりあい、乾いた音が部屋に響いた。
 ベッドの軋む音と、リナの喘ぎ声が、淫靡なハーモニーを奏でる。

「リナ、リナ・・・!」

 もう限界だった。  彼女の名前を呼びながら、ガウリイはぐっと腰を押し付ける。
 腰の奥で感じる痺れ。
 身体が求める欲求に、抗うこともせず、ガウリイは彼女の中に自分の欲望をぶちまけた。

「あっ、ああっ・・・」

 リナの内壁が蠢き、ガウリイのモノを、最後の最後まで搾り取ろうとする。
 痛いくらいの締め付けに、ガウリイは満足感を感じ、気怠い身体を動かして、リナの唇を塞いだ。
 唇を啄み、軽く食む。
 歯列をなぞり、また離れて、もう一度吸い付こうとしたその時、リナが目を開けた。

「ん・・・がうりい・・・?」

 眠たそうな双眸に、ガウリイの姿が映し出される。
 リナはガウリイの顔をまじまじと見て、なにをされたのか思い出したのか、突然その表情が不機嫌そうに歪んだ。

「もう・・・なにしてくれたのよ・・・」

 口調は怒っているが、いつもの覇気はない。
 まだ、気怠さが勝っているようだ。

「だって、仕方ないだろ? リナがあんなことして誘うから」
「誘ってない!」
「じゃあ、なんで膝の上に乗ったりしたんだよ?」

 素朴な疑問に首を傾げるガウリイを見て、リナは視線を泳がせる。

「それ、は・・・」
「それは?」
「・・・・・・せっかくガウリイを自由にできるんだから、ちょっと、くっついてみたかった、って言うか・・・」

 唇を尖らせて、拗ねるように呟くリナ。
 その顔は、普段の凛々しさからは想像も付かないくらい、女の子らしくて。
 はああああっと、思わずガウリイは、大きくため息を吐いた。

「な、なによ?」
「お前さん・・・分かっててやってるのか?」
「なにが?」

 ガウリイの言いたいことが分からず、今度はリナが首を傾げた。
 まあ計算で、こんなことができるキャラじゃないのは、ガウリイが一番よく知っている。
 こんなギャップを、目の当たりにできるのが自分だけだと言う事実に、ガウリイの頬が勝手に緩んだ。

「そう言うことなら、仕方ないな。その命令、叶えてやるか」
「きゃあ! いいわよもう! ホワイトデーももう終わるし!」
「なに言ってるんだ、リナ」

 暴れるリナの引き寄せて、ガウリイは顔を突き合わせる。

「まだ、終わってないだろ?」

 にやっと笑い、反論のために開いた口がなにかを言う前に、ガウリイはそれを封じ込めた。








I LOVE WHITE DAY







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