オレはまだ


本気出してないだけ







「今日は、お世話になりました」

 依頼人の女性は、そう言うと、色っぽく微笑んで深々と頭を下げた。
 年の頃はよく分からない。明らかにリナよりは上だろうが、もしかしたらガウリイよりも年上かも知れない。
 艶やかな黒髪の下から覗く垂れた双眸が、不思議な色気を醸し出している。

「ああ、気にしないで。この程度の依頼、あたしにとっては楽勝だから」

 そう告げるリナの表情は、いつも以上に機嫌がいい。
 なにせ今回の依頼、女性に付き纏う男を追い払うだけで金貨10枚もの大金が手に入ると言う、実りのいい依頼だったのだ。
 ちなみに男の方は、リナが攻撃魔法を2、3発浴びせただけで、泣きながら二度と近付きませんと誓っていた。
 一応誓約書も書かせておいたが、あの様子だと、そんなものも必要なかっただろう。

「あっ、そうそう。これもお礼に」

 そう言って、女性が手にした鞄から、1冊の本を取り出した。
 普段リナが読むような、魔道書の類とは違う。
 表紙も薄いし、ページもそこまで厚くはなかった。
 どうやら、大衆が読むような娯楽小説の様である。

「私ね、こう見えても作家なの。恋愛小説書いてるんだけど、それ、私の作品。あなたにプレゼントするわ」
「へえ、そう・・・」

 恋愛小説と聞いて、リナは興味が失せるのを感じた。
 しかし、それを当人の前で言うほど子供でもなく、リナはにっこりと微笑むと、

「ありがとう、貰っておくわ」

 お礼を言い、自分の荷物の中へと押し込んだ。
 依頼料の他に、なにか貰うことは少なくない。今回も、ただそれだけの話だった。

 この時までは。





「あー、いいお湯だった」

 宿屋で部屋を取り、お風呂に入ってきたリナは、上機嫌でベッドに横になった。
 ご飯も美味しかったし、部屋もなかなか綺麗だし、文句なしだ。
 このまま寝れたらさぞや気持ちいいだろうと思ったが、生憎、荷物の整理がまだである。
 明日は朝一にこの町を離れる予定のため、荷造りはとっとと済ませておきたかった。
 袋をひっくり返し、明日町で買い足して置くものをリストアップしていたリナの目に、1冊の本が止まった。

「あっ、これ・・・」

 今日の依頼人だった女性から、貰った本だ。
 存在自体をすっかり忘れていた。
 なんとはなしに、リナは本を手に取った。
 恋愛小説に興味はないが、このまま処分するのも気が引ける。中身の確認だけしておこうと思ったのだ。
 ぺらぺらと、細い指がページを捲る。
 文章を斜め読みしていたリナの顔が、みるみる赤くなっていった。

「なによ、これ!!!」

 思わず叫んで、リナは持っていた本を床に叩きつけた。

「これのどこが恋愛小説よ!?」

 本の内容は、婚約者のいる女性に、別の男性が求愛すると言う、お決まりのパターンから始まった。
 婚約者の男は愛しているが、求愛する男から感じる危険な香りに、揺らぐ女性。
 そして、話の流れで、女性は男に無理やり抱かれそうになる。
 拒むが、男の愛撫は巧みで、女性は嫌々ながらも男に感じてしまっていた。
 と言う内容が、事細かに描写されていたのである。
 依頼人の女性は、どうやらソフトポルノ作家であったようだ。
 当然リナは、こう言った本を読んだのは初めてである。
 あまりそう言ったことに面識のない彼女は、顔を赤くしたまま投げ捨てた本を睨み付けた。

「し、信じられない! こんなの人に渡すなんて! あたしが喜ぶとでも思ってる訳!?」

 叫びながら、リナは床に転がった本を再び手にする。
 ベッドに座り直すと、ぺらぺらとページを捲った。

「こんなの、全然、興味とか、ないし」

 言いながら、リナが小説の濡れ場を一心に目で追う。
 蜜が溢れ妖艶に光る女の泉に男が指を埋め込むと、女の口からは霰もない声が漏れる云々。
 男の強直で貫かれ、女は声もなく悶えた云々。
 私にはあの人しかいないのに・・・などと言いながら、女の体は快楽に正直に反応する云々。
 リナだって年頃の女の子だ。
 こう言ったことに、興味が無い訳がない。
 更にページを飛ばすと、今度は嫉妬に駆られた婚約者が、女を執拗に攻め立てるページもあった。
 縄で縛られた両手に走る痛み。それすらも快感に感じる云々。
 激しく責められ、甘い声で鳴く女に、あいつにもそんな声を聞かせたのか?と婚約者が問う云々。
 奥を貫かれ、蕩けそうなほどの快感に、女は背を弓なりに逸らせる云々。
 息を殺して、リナは読み進めていく。
 本当に、こんなに気持ちのいいものなのだろうか?
 未だ経験のないリナは、文章で綴られた官能的な営みに、ただただ想像を巡らせるだけだ。
 じわりと、下腹部に、今まで経験したことのない熱を感じる。

 コンコン

 その時、突然聞こえてきたノックの音に、リナは文字通り飛び上がって驚いた。

「おーい、リナ、いるかー?」

 間の抜けた声は、彼女も聞き慣れたもので、声の主はリナの返事も待たずに扉を開ける。

「おお、いたいた」
「な、なにしに来たのよ、ガウリイ!」

 咄嗟に、本は背中へと隠して、リナは声を張り上げた。
 慌てる彼女に、ガウリイは不思議そうに首を傾げる。

「なにって、ほら、石鹸返しに。ありがとうな」

 使いさしの石鹸を、ガウリイは差し出した。  リナはこっそり安堵のため息を付く。

「そんなの、いつでもいいのに」
「そうなのか? いつもはすぐ返さないと、文句言うじゃないか」
「・・・・・・」

 尤もなことを言うガウリイに、リナは上手い言い訳も見つからず、無言で石鹸を受け取った。
 大事そうに油紙で包み、更に専用のケースに戻す。
 と、

「あれ、この本」

 ベッドの上に無造作に置かれたそれを、目敏くガウリイが発見した。
 本を読むなどと言う習慣のないガウリイは、普段どんな本があろうがスルーをすると言うのに、なぜ今日に限って!?
 リナが止めるより早く、ガウリイは本を手に取っていた。

「今日もらってたやつだろ? 読んでたんだな」

 言いながら、ぱらぱらとページを捲っていたガウリイの表情が、

「・・・・・・」

 そのまま硬直する。
 先程まで齧り付くように読んでいたせいで、わずかな時間の間だったにも関わらず、本にはすっかり読み跡が付いていた。
 すなわち、濡れ場のシーンの数々が。
 ぎこちない顔で、ガウリイがこちらを見た。

「リナ、お前さん・・・」
「ち、違うわよ!!!」

 ガウリイの台詞を遮るように、リナが声を張り上げる。

「それは、その、貰ったものだし、読まないで捨てるのも失礼じゃない? だから読んだだけで、別にそんな、その・・・」

 しどろもどろになって事実を伝えるが、狼狽しているためかイマイチ説得力がない。
 ガウリイは一応相槌を打っているものの、あまり話を聞いている風ではなかった。

「まあ、その・・・お前さんも年頃だし、こう言うのに興味持つのも、な。別におかしいことじゃないぞ」
「だから、違うってば!!!」

 気まずい空気が、二人の間に流れる。
 リナの頭は混乱していた。
 確かに読んでたけど、でもそれは興味があってってことじゃ・・・いや、ない訳じゃないけど・・・。
 あああああ、もう、なんでこんなあたしが動揺しないといけないのよ!
 八つ当たりにドラグスレイブでも唱え出しそうな勢いだ。
 そんな彼女の頭に、ふと、ある考えが閃いた。

「じゃあ、オレは部屋に戻るから・・・後は気にせず・・・」
「ちょっと待ちなさい!」

 部屋から立ち去ろうとするガウリイの服の裾を掴むと、リナは無理やり自分の方を向かせる。

「今からやるわよ、ガウリイ!」
「はっ・・・? やるって・・・なにを・・・?」
「決まってるでしょ!」

 きょとんと目を丸くするガウリイに、リナは勢いよく叫んだ。

「セックスよ!」
「はあああああ!? いや、ちょっと待てって、リナ!!!」

 突然の展開に、付いて行けず、ガウリイが素っ頓狂な声を上げる。

「なによ、文句あるの!?」
「あるって言うか、お前、自分がなに言ってるか分かってるのか!?」
「分かってるわよ!!!」

 ぐっと、拳を固めるリナの表情は、これから戦場にでも赴くかのように殺気に満ち溢れている。

「こんな変な気持ちになるのは、あたしがまだ未経験だからよ! 経験したら、きっとそんなに恥ずかしくないわ!」
「いやいやいやいや」

 全力で、ガウリイは首を横に振る。
 どう考えてもおかしな結論に辿り着いていることに、しかし、当のリナは気付いていない。
 なんとか考え直させようとするガウリイだったが、そんな彼の胸倉を、リナは掴み上げた。

「ぐだぐだ言うな! やるの、やらないの!?」

 すごい剣幕で迫ってくるリナに、ガウリイは少し考える素振りを見せる。
 そして、

「・・・・・・本気か?」

 今までの及び腰はどこへやら。
 ガウリイは一歩踏み込んで、リナへとそう訊ねた。
 突然積極的になったガウリイに、リナは思わず怯む。
 しかしここで『やっぱりやだ』と言うのは、彼女の負けず嫌いの性格が許さなかった。

「と、当然でしょ」
「途中でやっぱ止めたって言っても、止めないからな」
「言わないわよ!」

 ほとんど、売り言葉に買い言葉だ。
 威勢よくそう宣言するリナに、

「じゃあ、ベッドに行くか」

 嬉々として、ガウリイはそう告げた。



 パジャマを脱がされると、さすがに羞恥心の方が勝る。
 隠そうとする両手を、ガウリイが掴んで押し留めた。

「なに見てんのよ・・・」

 ジト目で睨み付けると、ガウリイが困ったように苦笑する。

「見ないと出来ないだろ?」
「・・・・・・」

 それもその通りなので、仕方なくリナは黙った。
 ガウリイの武骨な手が、リナの小さな膨らみに触れる。

「やっぱ小さいな」
「あんた、喧嘩売ってんの?」
「そうじゃなくて、なんかイケないことしているみたいで、興奮するな」

 だろ? と笑いながら聞くガウリイに、知らない、とリナはそっぽを向く。
 さわさわと蠢くガウリイの手。
 くすぐったくて、変な感じだ。
 固くなった先端を摘ままれると、ぴりぴりとした刺激が走しる。

「気持ちいいか?」
「あんまり・・・」

 変な感じとは、さすがに言えなかった。

「まあ胸はな、最初はあんまり感じないんだよ」

 言いながら、ガウリイがリナの足の間に指を差し込んだ。

「ぎゃああああ! ちょっと、なにすんのよ!?」
「ぎゃあはないだろ、お前さん」

 パジャマの裾から入った指が、下着越しにリナの割れ目をなぞった。

「あれ、結構濡れてるな」
「ぬれ・・・へっ・・・?」

 動揺しすぎて、ガウリイの言葉が頭に入ってこない。
 下着を少しだけずらして、直接そこを撫でたガウリイの指が、一旦引き抜かれる。

「ほら」

 目の前に差し出された指には、ぬらりとした液体が纏わりついていた。
 リナに見せつけるように、ガウリイは指を動かす。

「あの本読んで、興奮したのか?」
「・・・・・・」

 それは事実で、しかしそうだと肯定することなど出来ず、リナはガウリイから視線を逸らした。
 分かりやすい反応に、ガウリイは思わず笑いを漏らす。
 今度はズボンも下着も取り払われ、なにも隠すもののなくなったそこに、ガウリイの指が這った。
 リナの中から出た愛液を掬い取り、くちくちと割れ目全体に塗り広げていく。
 その手が割れ目の少し上のところに触れると、びくっとリナの体が震えた。
 それを見て、ガウリイの指が執拗にそこを攻める。

「ちょっ、ガウリイ・・・」
「なんだ?」
「そこ、なんか・・・」

 後半は、言いにくそうに口をもごもごさせるリナを見て、

「気持ちいいか?」

 攻める手は緩めず、ガウリイが問い掛ける。

「そんなんじゃ、ない、けど・・・」

 言っている間にも、リナの体はびくっと反応した。
 気持ちいいのとは違うけど、全身がムズムズして変な感じがする。
 上下左右に撫でまわされて、その度に、自分の意志とは関係なく身体がびくつく。
 それを堪えようと、リナは唇を噛み締めた。

「んっ・・・」

 ムズムズした感じが、更に大きくなる。
 いつの間にか、握り締めていたシーツを、リナは更に強く握り込んだ。
 くしゃりと歪んだシーツの皺は、まるで彼女の内面を表現しているようだ。

「イキそう?」

 その問いに、リナは何度も首を左右に振る。
 イクなんて、それがどう言ったものなのか、リナにはよく分からない。
 だけど、流されそうな、真っ白になりそうな感覚に、抗うようにリナは歯を食いしばる。
 どうにか下半身から感じる刺激をやり過ごそうとしたが、それも限界だった。

「・・・・・・っ、・・・・・・!!!」

 びくびくっと、突然体が激しく震える。
 足の先までにも力が入り、脳髄を揺さぶる様な感覚に、リナは四肢を硬直させた。
 長いような、短いような、その波が収まると、リナはドッと全身を弛緩させる。
 頭の中がふわふわして、リナはぼんやりと天井を眺めた。

「イッたみたいだな」

 視界の中にガウリイが現れる。嬉しそうなその顔を見て、リナはなぜかイラッとした。

「なに笑ってんのよ!」
「笑ってたか、オレ?」
「すっごく。ムカつくわ、なんか・・・」

 眉間に皺を寄せるリナを見て、まあまあとガウリイは宥める。

「じゃあ、続きするか」

 嬉々として、ズボンを下ろしたガウリイが、自分の一物を取り出した。
 リナは自分の顔が引きつるのを、はっきりと理解する。

「途中で止めるって、言わない約束だったよな?」

 明らかにドン引きしているリナに、ガウリイは念を押す。
 自分から言ったことだけに、それを覆すことも出来ず、分かってるわよ、とリナはもごもごと呟いた。
 リナの割れ目に、ガウリイが自分のモノを擦りつけ出した。
 すでに濡れたリナのそこを動くたび、くちくちとした水音が微かに響く。
 こんなのが気持ちいいんだろうかと、疑問に思いながらリナは顔を上げた。
 と、ガウリイと視線が合う。
 その途端、自分が今どれだけ恥ずかしいことをしているのか自覚して、リナは顔を赤くすると慌てて目を逸らした。
 その首筋を、突然ガウリイが舐め上げる。

「ひゃあ! な、なに!?」
「いいから」

 ぺろぺろと、ガウリイはまるで犬みたいに舐めてくる。
 気持ち悪いはずなのに、この状況のせいだろうか? リナの中で、またムズムズとした感覚が大きくなった。
 耳を甘噛みされると、ひっと小さな悲鳴が漏れる。
 淵をなぞり、そのまま耳に舌が差し込まれた。

「ちょっ、ダメ、ガウリイ!」

 リナの制止の声を無視して、ガウリイの舌は容赦なく耳の穴を侵食していく。
 ぞくぞくと、背筋が粟立った。
 さっき割れ目を弄られた時より、より明確な快感がリナの中に芽生える。

「ふっ、んっ・・・!」

 声を出すのは戸惑われ、リナは必死で噛み殺した。
 それでもわずかな隙間から、甘い声が零れ落ちる。
 いつの間にか、割れ目から滴る愛液の量が増えていた。
 くちくちと、そこを動くだけだったガウリイのモノが、不意に入口へと添えられる。

「力抜いとけよ」

 その言葉から間を置かず、物凄い圧迫感がリナの襲う。

「ひっ・・・」

 思わず息を吸い込み、そのまま止める。
 入口が引っ張られる感覚。こんなもの、日常生活では感じることのないものだ。

「力、抜けって・・・」
「む、り・・・」

 どうにか絞り出すように呟くリナ。
 だってこんなの、どうしたらいいのか分からない。
 腰を揺らしながら、ガウリイは少しずつ奥へと押し進めるが、リナの中はそれを拒むように締め付ける。

「無理かあ・・・」

 残念そうなガウリイの声。
 これで解放されると、安堵したのも束の間、ガウリイの腰が動き出す。

「んんっ・・・!」

 ゆっくりと、浅くスライドする動きに、思わずリナは声を漏らした。
 普段なにかが触れることなんてない場所に、熱いものが触れている。変な感じだ。
 無理やり奥まで入ってこないためか、痛みは小さいものの、それでも狭いところをこじ開けられる感覚は、とてもではないが慣れそうにない。
 本当に世の中の男女と言うのは、こう言うことをやっているのだろうか?

「きっつ・・・」

 呻いたガウリイの動きが、少しだけ早くなった。
 何度かリナの中を前後すると、

「くっ・・・!」

 引き抜いたそれを、自分の手で二度、三度扱く。
 すると、大きく膨張したガウリイのその先端から、白い液体が飛び出した。
 ぴゅ、ぴゅ、と、小刻みに吐き出されるそれを、リナは目を見開いて見守る。
 飛んだ液体が、自分にかかっていることに気付いたのは、ガウリイがすっかり出し切った後だった。

「どうだった?」

 後の処理を色々終わらせ、健やかな笑顔でそう聞いてくるガウリイに、リナは沈鬱な表情で顔を背ける。

「なんか・・・イマイチ・・・」

 シーツをぐるぐると体に巻きつけ、ため息すら付きそうな勢いで、リナはぽつりとそう言った。

「本だともっとすっごいようなこと言ってたけど、なんか痛いし、ってか今も痛いし、おなかの中気持ち悪いし、全然違う」
「ええええええ!? でもお前さん、イッてたよな!?」

 ショックを受けて食い下がるガウリイから、距離を取るようにリナはベッドの上を移動する。

「あれもなんか、気持ちいいって感じじゃなかったもん。変な感じはしたけど・・・」
「それがいいんだって!」
「えー、いいわよそんな、嘘言わなくたって。どうせフィクションはフィクションよね。現実はこんなもんか」

 冷めきった顔でそう言うリナの肩を、ガウリイは鷲掴みにする。

「いやそれは、お前さんが初めてだからで、オレだって遠慮して本気出してないし! オレの本気はもっとすごいし!」
「へー、そう。すごいすごい」

 全然信じていないリナが、口先だけでそう返す。

「いや本当に! そうだ、もう一回しよう! リナも何回かしたら、もっと気持ちよくなるだろうし、今度はもっと上手くやるから!」
「えええええええ、またあんなことするの?」
「今度は本当に! 本当に気持ちよくするから!」
「って言うか、なんでそんなに必死になってるのよ?」
「そんなの、惚れた女に気持ちよくなかったなんて言われたら、男は誰だって・・・」

 そこまで言って、ガウリイはハタと言葉を切った。
 きょとんとした顔でその台詞を聞いていたリナは、みるみる顔を赤くしていく。

「ちょっと、ドサクサに紛れてなに言ってんのよ!!!」
「いや、すまん。そうじゃなくて、いや、惚れてるのは嘘じゃなくて、その・・・」

 今度はガウリイがしどろもどろになる番だった。
 言い繕うとすればするほど、更に墓穴を掘るガウリイは、結局言い訳をすることは諦めて、ベッドに正座するとリナへと向き直る。

「リナは嫌いか? オレのこと」
「そ、れは・・・」

 上目遣いにこちらを見てくるガウリイを見て、不覚にも胸がきゅんとした。

「・・・・・・嫌いだったら、こんなことに誘わないわよ」
「リナ!!!」

 ムスッと口を尖らせるリナに、ガウリイが嬉しそうな声を上げる。

「じゃあもう一回! な?」
「えええええ、なんでそうなるのよ!? って言うかおかしくない、この状況!?」

 リナなの抗議の声が聞き入れてもらえたかどうかは、また別の話。



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